天文宇宙検定 受験の記
2015/10/24
・参考となるページ・ (別タブが開きます)
天文宇宙検定公式 天文宇宙検定の概要+過去問(重要)
Wikipedia「天文宇宙検定」 一応。ただし、公式サイト以上の情報はなし。
Facebook「天文宇宙検定」 最新情報と、事務局のつぶやき。
要するに星や宇宙に関する知識を問う検定である。監修は池内了、佐藤勝彦、柴田一成 各先生…と著名な方々。(「よく本を書いておられる天文学の先生たち」)
似た名前の検定に星空宇宙天文検定(通称「星検」)があるが、全くの別物。以下、備忘録。
4級 星博士ジュニア(60点合格) ¥4000
3級 星空博士 (60点合格) ¥4500
2級 銀河博士 (70点合格) ¥5500
1級 天文宇宙博士 (70点合格) ¥6000
の4階級制。検定は年1回実施で9月上旬締切、10月上旬試験。会場は東京、大阪、名古屋。
・3級 星空博士に関して
「中学生程度の問題」とあるが、当然のことながら中学生が学校の授業のみで受験したとしても合格は難しい。テキスト購入+過去問(公式ページに掲載されている)に取り組むことは必須。逆にそれさえすれば、80点=合格は堅いと思われる。
天文宇宙検定公式テキスト3級星空博士 (2011/06/20) 天文宇宙検定委員会 |
ただ、このテキストの誤りの多さはAmazonレビューでも指摘のある通り。重版で改善されているようだが、私が購入したものは版の古いものであったようでそれだけでは勉強ができず、「ん?」と思ったところは別の文献で確認しながら勉強する必要があった。
その他、検定自体もAmazonで酷評されていたりするが、肯定的にみるとたとえば「なぜ北半球のみで見える星座があるのか」といった科学的な理解や、星座と人類の関わりの歴史などの雑学的知識を得ることはできる。
中学校の学習内容程度の予備知識があれば、通常1週間もあれば十分に合格圏に達することのできる内容であると言える。
・2級 銀河博士に関して
合格に向けては、やはりテキストと過去問の学習は必須である。(ただ、3級同様初版は誤植が目につく。中には表紙折り返しの1000K10000Kのように、それこそ「複数人で一通り眺めれば気付くでしょ!」というものも散見されるのが残念である。)
天文宇宙検定公式テキスト2級銀河博士 (2011/09/10) 天文宇宙検定委員会 |
それぞれの内容を一通り把握できれば80点は堅い。が、合格ラインが70点なので結構ぎりぎりである。テキスト内容は、太陽をはじめとする恒星に関するものと、宇宙の歴史とそのスケール的お話+ちょっと生物。
特にH-R図と星の分類(赤色巨星、主系列性など)はメイン的扱いで、多くのページが割かれている。
実際に試験を受けてみると、50分で80問は意外と厳しいものがあった。「知識問題で迷うことなく時間のロスを防ぎ、計算問題、特に万光年-光年-天文単位-億km-km-mの相互変換にかける時間をどれだけ捻出できるか」そんな勝負が繰り広げられた。
3級同様やはり(Amazonのレビュー等を見ても)検定自体の評価があまり高いとはいえないが、例えば「アンドロメダ銀河のサイズはどれくらいか」「地球からどれくらい離れているか」といったスケール的な知識と、「恒星」に関する知識は得られるのではないか、と。
理系で3級程度の予備知識があれば、テキストを3回通り読んで内容を把握すれることで、こちらも1週間あれば合格ラインに到達可能。
・合格証に関して
2012年実施の第2回の試験において2・3級併願で受験。可もなく、不可もなくの点数にて各級に合格。ちなみに検定の翌日には解答が公式ページで公開されるので、受験時に冊子にメモしておけば自己採点が可能である。
11月27日ころの発送で結果と合格証が郵送されてくる。
噂には聞いていたが、合格証のデザインには驚かされた。銀河鉄道999のメーテルが、挿絵というレベルでなく、背景というレベルも超えて、もはやそれ自体がメインではないかと思えるくらい大きく描かれている。
検定の名前より大きく受験者の名前が印字されているのにも違和感を禁じ得ない。「○○様」というのもどうなんだろう…など、評価の分かれる問題作である。
2級の合格者にはめでたく1級の受験資格が得られる。…が、Amazonの1級テキストのレビューをみると、
テキストの例題が全く試験に出ない。
理解を深めるための参考書として24冊示され、その小説を読んでいないと答えられない。
そんなこと知ってどうする?という問題。
といった悲鳴ともいえる評価がなされている。1級への挑戦は見合わせが濃厚な今日この頃である。
・雑感・
・期せずして「星空博士」「銀河博士」の称号を頂いたが、この検定を通して星空自体に詳しくなった気はあんまりしないのが正直なところである。たとえば夜空を見上げた時に「オリオン座のリゲルは確かに白く、ベテルギウスは赤いな…」と思うことはあっても、あれは●●座、あれは××座ととっさに見分けたり、メシエカタログのM●●が何座にあって正体は何だったといったのが瞬時に暗唱できたりはしない。それはそれこそ先述の星検に譲るところかと。
・検定テキストの内容に関して、取り上げられている素材とその難易度(小、中、高、大学のどのレベルなのか)に一貫性が薄い。したがって、「この検定の○級を持っていたらどの程度のことが分かっているのか」が分かりづらい検定だと感じる。
改善(その前提として存続)が期待されます。