他教科の教員免許状を取得する【情報】
2020/03/18
2012/3/12のエントリ大学院中退からの専修免許取得では、いわゆる教員免許法第6条別表3に基づき、大学院を卒業せずに専修免許を取得する流れを備忘録。
今回は、別表4に基づいて今保有している教員免許とは別の教科の免許状(「情報」の免許)を取得することにする。
別表4によれば、大学において24単位(教科関連の20単位と、教科指導法4単位)を取得すれば、免許状の申請が可能になる。
通信制の大学で1単位6000円程度が相場とすれば、教科書代手続き費用入学金等含めて、25万円程度の費用が掛かる。一方、免許を取ることによって昇給したり、エラくなれるわけではないので、この投資が直接的に回収されることはない。
事前に出身大学から、「学力に関する証明書(情報)」を2通送ってもらい、1通開封してみる。大学時に情報に関する科目をいくつも受けた記憶があったので、取得すべき単位が何単位か減るかと思いきや、習得単位は「ゼロ」だった。(当該学部が、教職課程の認定を受けていないとダメ?)ということで、まったく新規で丸々24単位取らねばならないらしいことを再確認。
次に、文部科学省のページ教員免許状が取得できる大学等から、当該教員免許状を通信で取得できる大学を探す。
例えば教科「情報」であれば、北海道情報大学、帝京大学など5校で取得できることがわかる。
今回は「スクーリングなし」「最短半年で取得可能」な北海道情報大学を選択した。願書を送ったところ、程なく合格通知書が届き、学費を払って「科目履修生」となった。
北海道情報大学には、「印刷授業」=教科書を購入し、レポートを書いて認定試験当日持参の上受験する授業形態と、「インターネットメディア授業」=動画を視聴して実習し、試験を受ける授業形態がある。
また、半年での教員免許状取得を目指す場合には取るべき科目が決まっており、印刷授業9科目、インターネットメディア授業2科目の計11科目を履修することになる。
さらに、認定試験は前期と後期にそれぞれ2回(年4回)実施されており、各回最大10科目(5科目×2日)受験できるので、11科目を認定されるには少なくとも3日間(2回、=最短半年間)は試験を受ける必要がある。各科目の内容等は以下の通り。
1.情報科教育法I
学習指導要領を読んで憶え、理解する。「暗記系の」科目
レポートは、語句穴埋め問題。
2.情報科教育法II
学習指導要領を読んで憶え、理解する。「暗記系の」科目
レポートは、語句穴埋め問題
3.ディジタル画像概論
画像データの種類や、フィルタの掛け方を学ぶ。教科書はコンピュータグラフィックス
レポートは、画像の白黒を反転させるプログラムの作成と提出 他、いくつかから選択可能
4.コンピュータネットワーク
インターネットはなぜ繋がるのか、その仕組みを学ぶ。教科書はインターネット技術入門
レポートは、教科書からルーターの仕組みやIPアドレスの計算など。試験も同様。
5.知的所有権論
著作権法について、ケーススタディ。教科書は知的財産法入門
レポートは、教会を写真に収めることは著作権の侵害かどうか検討するもの。試験は、著作権に関する正誤など。
6.コンピュータサイエンス入門
二進法や、情報関係でよく使う言葉の理解。教科書はコンピュータシステムの基礎
レポート事前に示された課題50問から選んで回答。自分は2の補数、正規分布など数学的なものを選択。
7.プログラミング基礎(IM授業)
C言語の基礎的な文法を理解する実習。教科書はやさしいC。Hello Worldからファイルの出入力までなので、そこまで高度なことはしない。動画を見ながら作成したプログラムがレポートとして受理される。
試験は、与えられた課題を処理するプログラムのコードを紙に書く、というもの。
8.情報職業論
情報に関する資格や、コンピュータの進歩の歴史、システムエンジニアがどのようにシステム構築していくかの流れを学ぶ。教科書は情報と職業
レポートは、最近発生したセキュリティのインシデントをピックアップしてまとめるもの(私の場合は時期的に7pay一択)と、今後必要と思われる情報の資格
9.情報社会論
毛色の違う2つの教科書「パーソナルネットワーク」と、「ボランティアへのまなざし」を読んでレポートを作成する。
前者には人と人とのつながりが持つ価値が解説され、後者は病院ボランティアの実態を詳述したもの。試験はそれを踏まえて人生を語るものだった。
10.データベースシステム
教科書は図解でわかるデータベースのすべて
SQLでデータベースを操作するレポート課題
テストもSQL文を書いたり、「第三正規形に正規化」したり。
11.システム設計演習(IM授業)
教科書はわかりやすい情報システムの設計
astahを使ってクラス図を描きながら、オブジェクト指向について学ぶ
試験に関する詳細な情報は過去問を共有するコミュニティなどが存在するので、そちらに譲ることにしまして…。(平均すると試験の合格率は7割程度であるとのこと。ただ、実際には科目によって難易度=求められる学習時間が大きく違う。)
授業や学習内容に関しては、ご覧のとおりで、免許取りつつ流行りのAIに精通できたり、vbaやaccessを学んで業務改善に繋がる…といったことはない。これを一石二鳥の学びの機会とすることは期待しない方が無難。
9月に入学手続きをして、11月20日21日の試験(後期1回目の試験)で「プログラミング基礎」と、「コンピュータネットワーク」を除く9科目を受験。2か月弱の準備期間しかなかったので、「とにかくレポートを提出することと、次回試験に向けて1度試験問題を眺めておければそれでいいや。」という”ダメもとでの受験”であった。が、幸運にも9科目すべて合格。(成績はさておき。試験時間は1時間であったが、30分で退室し、次の試験の学習時間を捻出する作戦が奏功)
こうなったらもう半年でとるしかない、と1月26日(後期2回目の試験)に残り2科目に挑む。2科目だけなら余裕をもって準備できる!…と思いきや「コンピュータネットワーク」が結構重い。そして、IM授業(プログラミング基礎)はやはり動画を見なければならない分学習に時間がかかる(IM授業1科目につき2時間動画を15本くらい見る必要がある。)9科目-2科目は終わってみれば結構理想的な配分だったかも。
当初簡単に取得できるイメージを持っていたが、大量の教科書を買い、いくつかIM授業の動画を見た段階で、24単位の重さをずーんと感じ、やや後悔。「半年で取得できる」のは確か。しかしそれは物理的制度的に可能という話で、実際に勤務と並行してというのはちょっとしんどい。
ただ、「もうお金も払ってしまったし…最後までとりきるしかない!」と自分を奮い立たせてなんとか勉強したというのが実態。
2月20日に全科目の成績が出たところで、「学力に関する証明書」を申請。
あらかじめその他の書類や収入証紙を準備しておき、管理職を通じて県教育委員会に提出した。(現職であれば、いくつかの書類が免除されるので、こちらの手続きはあまり煩雑ではない。各都道府県教育委員会に確認のこと。)