別棟備忘録4

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誘導コイルの扱い方 先輩に聞く①

      2015/12/26

若手教員がベテランに学ぶ物語。様々なことを考えた結果、飲み会や先輩先生の職場ではなく、こちらの実験室に来て頂いた方が良のではないかという思いに至る。
この日、初めて「先生」を学校にお招きした。座って頂いた席の近くにライデン瓶や誘導コイルがあったので、誘導コイルの実験を行う流れになる。
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写真は 島津理化製誘導コイル H15年の記載 ほこりが…
昨今はこのタイプが多い。カタログスペックは「10万ボルト」しかし、先生によれば生じる電圧は4万ボルト程度ではないかとの事である。よく言われる放電距離に対して10kV/10mmだと40mmに相当する、ということか。

その奥に、さらに古いものを発見
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東京前川科学製誘導コイル S46年の記載 やはりほこりが…。そして、「廃棄」の文字。
スイッチ一つで動く誘導コイルしか知らない世代にとって先生のおっしゃる「微調整して使うんですよ」の意味がはじめは分からなかった。

まずは島津理化の新しいものをつかって正、負の確認から。最近の誘導コイルには極性を変えるスイッチがついているので、順極性の場合にどちらが正になるか、負になるかが必ず分かるようにして(シールなどを貼って)おいた方がいい、という。なお、順方向でスイッチに近い側が正極、遠い側が負極になる仕様のようだ。
また、円盤状の極板と、針状の極は外すことができる。
http://www.shimadzu-rika.co.jp/kyoiku/experiment/yudou.htmlこのページにも紹介があるように、それぞれで観察できる現象が異なることにも注意して、適切に配置したい。
通常は、丸いほうを負極として使うのがいい。
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なお、誘導コイルの極板間に紙をおいて放電させると、燃えます。
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極板に対して、紙の重なりが多くなるように配置すれば、短時間で発火する。
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つまみを操作して出力を上げておくことも大切です。
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ライデン瓶にためてみる。このはく部分はスズでできているらしい。ある程度たまったら、放電叉で放電を演示する。放電叉は必ず側面のはく部分にあててから、中央の球の部分にふれる。そうでなければ側面のはくが剥離してしまう。

そしていよいよ東京前川科学の古い誘導コイルを動かしてみよう、という流れに。しかし、いざ動かそうとしてみると、+,-にどんな電源を接続して良いのかわからない。「東京前川科学」は既に会社をたたんでおり、捜査は難航。。。結局、Webや先生の知り合いの方の情報から、「直流6Vを入れれば良い」ことが判明(本来はバッテリーで駆動させることを想定しているという)。
P1030737_R誘導コイルは1次コイルとして200回程度巻いてあり、その外側に非常に細い2次コイルが数千回まいてある。
daa00923出典:http://www.tdk.co.jp/techmag/ninja/daa00923.htm
確かに古いものはこの原理がわかりやすい。ちなみに先生はさらに中を分解して提示できるようにしたものをもっておられるそうだ。

回転するスイッチをONにあわせ、ダイアルの様な部分を回して、金属部分を芯から遠くも、近くも無い位置に合わせることができれば、放電が起こる。
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放電が起きた瞬間は想像以上の達成感があった。昨今これをスイッチ一つでできるのはすばらしい。ありがとう!(あたりまえの対義語であることを再認識。)

なんとか放電現象は観察できた…が、動作が安定しないので「スイッチを掃除しよう」という先生からの提案。大変なことになりそう。と、ちょっとためらうも、「すぐできますよ。」とおっしゃる先生。
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金属の部分は練り歯磨きで磨けるとのこと。確かに金属光沢が戻ってきて、磨く前に比べて安定して動作するようになった。これだけのことに「え?磨くの?」とためらってしまった自分が恥ずかしかった。
こうしてメンテナンスをすることで機器に愛着が沸いてくる。「廃棄」と書かれ、ゴミに見えていたものが、まるで違って見えてくる。
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予定していたことの1/4位を終えたところで時間となってしまった。第2回をやろうという約束を頂き、本日はここまで。→2日目はこちら

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